CHUPROグッズ 開発者紹介

CHUPROのグッズはどういう人が開発しているのか、また、どういうこだわりをもって開発しているのか。インタビュー形式で開発者を紹介したいと思います。まずは簡単なプロフィールです。


島田 守 Shimada Mamoru

商品企画開発

1977年生まれ。高校生の時に考古学に興味を持ち、考古学が学べる奈良大学へ。自身は古代ガラスの技法研究に没頭、ガラス作家の下で吹きガラスを学ぶ。博物館が所蔵する古代ガラスの復元をいくつか試み、作品は展示・販売された。同大学院へ進学し、レバノンでローマ・ガラスを発掘した経験もある。在学中に学芸員資格取得。研究活動の傍らで食品会社の商品開発に携わり、工場直売店を立ち上げるなど、運営の目線を養った。2016年に㈱中央プロセスにてCHUPROを立ち上げ、これまでの経験を生かしてミュージアムグッズの開発やブランドの構築などに携わっている。


—改めまして、島田さん。よろしくお願いいたします。

島田 よろしくお願いいたします。

—プロフィールによると、最初からミュージアムグッズの開発に携わったわけではないのですね?そうなったいきさつを教えて下さい。

島田 そうなんです。考古学を学んでいたことからミュージアムグッズには興味がありましたが、これをつくる仕事をするとは当時は思っていませんでした。ある日、バイト先の食品会社で、古代ガラスの研究をしていたことを知った上司に、その目線で商品開発をして欲しいと誘われたんです。面白そうだと思って入社を決めました。

 

食品開発をして、それを販売する店を立ち上げる事業に携わりました。食品自体はすごくおいしかったし評判もよかったので、何とかしてお客さんに食べていただこうと思い、現場仕事もしながら、販促やイベントのことを考え、売上管理もして・・ということをずっと続けていました。この時に、食品を入れる箱やポイントカードなどの相談をしていたのが実は今の会社だったんです。当時はここで仕事をするとは思っていませんでしたけど。こういう感じで10年近く食品業界にいたのですが、現場仕事で腰を痛めて、続けられないと悩んでいた時に、中央プロセスで商品開発をしてみないかと誘っていただいたんです。

—体を壊したことがきっかけだったんですね(笑)。現在はミュージアムグッズが主な開発品ですが、もともと考古学を学んでいた島田さんが携わることの強みって何でしょうか?

島田 正しい考証に基づいた上で、遊び心を入れた開発ができることでしょうか。例えば「古墳ポーカー」は古墳をテーマにしたカードゲームですが、そこには弥生時代の”四隅突出型墳丘墓”も登場します。古墳誕生の歴史としてどうしてもこの墳丘墓を知ってほしかったので、ゲームに取り入れることにして、解説書に時代のことをきちんと書きました。そうしたらある学芸員さんに「これ、古墳時代と違うのに!・・・・と思ったらちゃんと説明書に書いてある!さすが!」と言っていただきました。


—歴史マニアにも、歴史を知らない子どもにも楽しんでもらえる開発ができますね。現在取り扱っている商品はいくつくらいありますか?

島田 時代で分けるか、素材で分けるかなど、どう数えるかで違ってきますが、単純に1つ1つ数えるとなると100点くらいはあります。

—完成にいたるまでに、例えば発案や設計といったいくつかの段階があると思いますが、島田さんはどの部分を担当しているのでしょうか?

島田 企画から販売まで全部担当しています。デザインや設計は得意な人にお願いすることがあっても必ずこうしたいという意図を伝えます。企画段階で社内で相談した結果、よりいいモノになることもあれば、自分ではかなり面白いと思っていても「それって面白いの?」って言われることもあります。このように考古学を知らない人の意見も大事ですので、社内外の意見もちゃんと聞きます。

—全工程を見るのは大変だと思いますが、開発に苦労したエピソードみたいなものはありますか?あるとしたら、それはどんな商品でしょうか?

島田 苦労した記憶はありませんが(笑)・・・強いて言うなら、コストのことを考えずに企画した結果、頓挫してしまった経験があります。それがエジプトクリップ。企画はいつも面白そうだという思い付きから始まることが多いのですが、思いのほかコストがかかりすぎることが発覚しました(笑)ただ、だからダメだというのではなくて、これまで蓄積された製版の知識から社内でヒントをもらって、その技術をもっている企業さんを探し、そこと協力して作り上げることができました。


—社内外に相談できるというのは開発者として恵まれた環境ですね!開発にはどんな思いを込めていますか?

島田 長く使っていただきたいので、奇をてらったものというよりは、ありそうでないものを作りたいと思っています。例えば「こふんえあわせ」は古墳にはいろいろな形があるということを知ってもらいたくて神経衰弱にしました。「メジェラート」というポストカードは「メジェド」という古代エジプト神を食べ物と合体させてゆるキャラ化しました。古墳もエジプト神も神経衰弱もジェラートも、もとからある素材ですが、その組み合わせが面白いと評判です。


—なるほど。飽きやすい時代だからこそ、長く使ってもらえるものをつくるのは大切なこだわりだと思います。では、最後に今後の展望がありましたらお聞かせください。

島田 個人的には宇宙、古生物といった新しいテーマに挑戦してみたいですね。グッズを通じて学ぶきっかけや面白さをこれからも提供していきたい。手に取って楽しめるものをつくりたい。そのためには、いろんな取扱店に共感していただき、それらを扱ってもらえるような努力が必要だと思っています。

—研究者が自ら商品開発から販売までを手掛けるという珍しいスタイルで、ミュージアムグッズの新しい魅力を発信し続けている島田さん。苦労話すら楽しそうに語られる姿が魅力的でした。

 

今回お話を伺って、考古学を学んだ島田さんだからこその独創性がCHUPROのモノづくりに活かされていると感じました。今後のご活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。